「SNS運用代行に頼んで半年が経ちました。フォロワーは増えています。でも問い合わせは変わっていないんです」
こうした状況を話してくださる経営者の方に、共通して見える構造があります。施策の中身が悪いわけではありません。SNS運用代行の担当者もWeb広告の代理店も、それぞれの仕事をしっかりこなしています。
では、なぜ問い合わせにつながらないのか。
💡この記事で分かること
- 施策に投資しても問い合わせが増えない会社に共通する構造的な問題
- 「施策の前に抜けているもの」とは何か
- 沖縄でSNS・広告投資が機能しにくいパターンとその背景
「どれほど投稿しても、頭に浮かばなければ意味がない」という構造
SNSの投稿数が増えると、認知が広がった気がします。それは間違いではありません。ただ、顧客が自社のサービスを必要とする瞬間に、自社のことが頭に浮かぶかどうかは、また別の話です。
たとえば飲食店のSNSをフォローしていても、その店を思い出すのは「ランチの選択肢を考えているとき」「特別な日の食事を探しているとき」といった特定の状況です。そのタイミングで頭に浮かぶかどうかは、投稿頻度よりも「どんな状況で、どんな会社として認識されているか」が決めます。
問い合わせにつながらない会社の多くは、「投稿はしているが、どんな状況の顧客に想起されたいかが設計されていない」状態にあります。
【マーケティング理論の視点】
フィリップ・コトラーは『マーケティング・マネジメント』の中で、広告などのプッシュ型コミュニケーションは「認知の形成」には寄与するが、「購買の意思決定」につなげるには顧客の関与を引き出すプル型の仕掛けが必要だと論じています。
発信量を増やすことと、「この状況になったらあの会社に相談しよう」という顧客の内側の動きを作ることは、別のプロセスです。この二つを区別せずに施策を積み上げると、手応えのない時間だけが続きます。
沖縄で「とりあえずSNS」が広まった背景
沖縄ではここ数年、「まずSNSを始めよう」という判断が経営者の間で急速に広まりました。その背景には、観光需要の拡大とともにSNSの活用が観光業・飲食業で成果を出し、「SNS=集客ツール」として認識が定着したことがあります。
県外のマーケティング会社が沖縄市場に参入し、「SNS運用代行を使えば集客が改善される」という提案が増えました。「競合他社もやっている」「業界仲間がやっている」という情報が広まり、施策として採用されやすくなりました。
こうして「SNSをやること」が目的化し、「誰に何を届けるために使うか」という設計の議論が後回しになるケースが生まれています。
これは沖縄の経営者が判断を誤ったということではありません。横並びの施策が広まりやすい市場環境と、施策を先に提案する支援会社の増加という構造が、この状況を作っています。
施策の前に整理すべき問いとは
問い合わせにつながらない施策の多くは、次の問いが整理されていない状態で動いています。
- 自社のサービスを必要とするのは、どんな状況にいる人か
- その人は、どんなタイミングで選択肢を探すか
- その状況で、自社はどんな会社として頭に浮かぶ必要があるか
この問いに答えを持っている状態で施策を設計すると、「何をSNSで発信するか」「どんなキーワードで広告を出すか」が決まります。
問いが整理されていない状態での施策は、予算と時間を消費しながら、手応えの来ない時間が積み重なります。
「施策を変えてみる」よりも先に、「施策の前に何が抜けているか」を確認することが、問い合わせを増やすための近道になることが多いのです。
【次のステップ】
“顧客が求める価値”を起点にした設計について、こちらの資料で整理しています。まず状況を整理してみたい方にとっての手がかりになります。

【著者プロフィール】
渡辺奎聖 Watanabe Keisei
・ 中小企業診断士(経済産業大臣登録)
・ 医業経営コンサルタント
・ 上級ウェブ解析士
「“沖縄発”のブランドを時代を切り開くシンボルに」を信条に、エビデンスに基づくマーケティングで地域経済の持続可能な成長を支援します。
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